犬本―【国内/ノンフィクション】《獣医師・学者、専門職、自費出版系》―その1

イヌの力 愛犬の能力を見直す

今泉忠明

平凡社/平凡社新書 660円 [Amazon]

 学術系犬本。クロマニョン人がネアンデルタール人との競合に勝つことができたのは、イヌを「友」としたからである――さて、イヌはどうやってヒトの「友」になったのでしょう? という内容。犬関係者としては、なんといってもエピソード関係。

オンタリオの採鉱飯場近くに住んでいた盲目のイヌ“シェルパ”はとても用心深く、人間をやたら警戒した。長い時間を要してやっと一人の採鉱夫になついた。ある日、一人の男がこの飯場を訪れたが、シェルパは少々ためらいながらもすぐにしっぽをふってこの男に近づいたのである。人びとは不思議に思ったが、実はこの男とイヌがなついていた採鉱夫とは一卵性双生児であったのだ。(「第三章 イヌの能力を知る」より)
 イヌもすごいと思うけど、離れて暮らす成人の一卵性双生児が「同じにおい」というのがすごい。本格推理のトリックにいかが?(笑)(2000.6.13 白耳)

★★★


 2000.5.23初版。かなり学術系の「犬本」。前半の、解剖学的なイヌの考察――祖先はオオカミかそうではないのか――は、やや退屈だが、後半、イヌの嗅覚、聴力、視力、超能力(帰巣本能)などについての話は面白かった。
 まったく、どうしてイヌには飼い主が帰ってくるのがわかるんだろう。一度試してみましたが、わたくしが電車に乗っている時間帯から玄関で待っていたりして、不思議です。(2000.5.28 黒鼻)

★★☆


集合住宅でペットと暮らしたい [ペットライフ、新時代]

井本史夫

集英社 1400円 [Amazon]

 2001.5.30初版。マンションでペットを飼うのに必要な心構えとはなにか。獣医にして、みずからの居住するマンションでは「ペット飼い主の会」を結成し共生を勝ち取った著者が、懇切丁寧に語ります。
 いやほんと、丁寧。
 動物が問題なのではなく、人間関係が問題なのだ、とはっきり言っています。もっともそういうことがわからない人は、こういう本は読まないでしょうけどね。
 しかし、犬のふんを片づけないことに腹を立てて毒入りラーメンを置いておく老人にも腹が立つが、ふんを片づけないバカにも腹が立つ。もうちょっと脳をつかって動物を飼ったらどうだ。っつうか、そういうバカに犬を飼う資格なし。
 吠え癖がなおらない犬も、ぎゃーぎゃー騒ぐ幼児も、歩道いっぱいになって歩く高校生も、がはがは笑うおばさんも、酔ってゲロはくおっさんも、みんな同じ。迷惑かけちゃいかんでしょう。自分が迷惑になってるかどうかを気にしないようになったら、おしまいだと思う。社会というものの最低限の約束事はそこじゃないかなあ。
 で、ペット可マンションで犬を飼っているわたくしですが、今のところ目立ったトラブルはない、みたい。しかしこれも嫌いな人がどう思っているか、わからんしなあ。気をつけようと思いました。すくなくとも外で物は食べさせないぞ。って、そういうことじゃないってば。(2001.5.27 黒鼻)

★★★


ごしまれいこ

いれぶん出版発売/Kプロダクション発行 1500円

 サブタイトル「犬そだてにちょっぴりつかれたパパとママへ」。

この本のタイトルにも使った「犬そだて」という言葉。私は「いぬそだて」ではなく「こそだて」と読んで欲しいと思っています。あなたが犬と一緒に暮らし、そしてあなたがその犬を育てていくのなら、それはまぎれもなく「子育て」です。(p.1)
 著者は訓練士。1998年4月1日初版第一刷発行とけっこう新しい本だが、どうやって手に入れたのか、さっぱり忘れてしまった。自費出版ふうの地味な装幀及び内容ではあるが、非常に具体的でわかりやすい。飼い始め関係者向き。
(しかし書店で入手可なんだろうか?  http://member.nifty.ne.jp/KOSODATE/がホームページだそうです)(白耳)

★★★


児玉小枝

桜桃書房 1500円 [Amazon]

 家族の献身的な介護、天寿を全うしようとする老犬たち――交わすことばは「ありがとう」。写真と文章で綴る感動の記録。話題の本。
 表紙はベビーカーに乗せられた老ビーグルの写真。こういう光景はいまや珍しくない。動物が好きではなかったり、飼ったことのない人の目には、滑稽にうつることもあるだろう。近所に後肢が不自由で、特注の車椅子をつけた犬がいる。ほとんど動けなくなったウエスティを抱っこして散歩させている女性がいる。いつも自転車のカゴに老いさらばえたベドリントン・テリアを乗せている人がいる。
 道行く人の多くはすぐに目を逸らしたり、そうでなければあからさまな好奇の視線を向ける。だが、同じように犬を飼うわたしは、飼い主と犬の間に流れる、静かで穏やかな時間を感じることができる。
 不自由な生活に前向きに取り組む飼い主と犬の写真は雄弁に語る。巻末「痴呆犬の介護ポイント」「寝たきり犬の介護ポイント」いい。親切。(2002.8.24 白耳)

★★★☆

▽著者のページ
 http://www1.u-netsurf.ne.jp/~s-kodama/


白澤実

徳間書店/徳間文庫 514円 [Amazon]

 2001.1.15初版。96年11月にサンマーク出版から出た『ペット探偵のゆううつ』の文庫化。
 著者は現役の“ペット探偵”。49年東京生まれで、麻布獣医大学(現麻布大)を中退、その後、ホテルマンやらなにやら職を転々として、(おそらく単行本刊行の)15年前からペット捜し専門の探偵屋さんを開業、現在にいたる、らしい。
 いかにも素人で、文章も下手だし語彙も貧困、黒澤という架空の分身を出して語らせたり、なんだかこの手の本に共通するダサさがきびしいものがあるんですが。
 でもまあ誠実さがわかるので、許してやるかというところ。ペット業界――悪質なブリーダーや獣医、どうしようもない飼い主ら――全般に対する批判的な眼もちゃんと備わっているし。
しかしドクター野村もそうだけど、この手の本を書く人って、どうしてこう鬱陶しい暑苦しさを(文章に)そなえているんだろうか。もっとクールに書いても充分伝わるだろうに。(2001.1.24 黒鼻)

★★☆


富澤勝

草思社 1600円 [Amazon]

 1997.10.6初版。読むだに腹の立つ本。本に対してではない。日本および日本人に対して、だ。
 著者は獣医学の学者さんで、海外経験もある。そういう人が、現代日本におけるペット事情(主として犬だが)をぶった切っている。この手の本は、えてしてイギリスえらいアメリカえらいとなってしまいがちだが、まあ実際えらいからしょうがない。
 ペットブームによる乱れた繁殖、投機を目的とした飼育、むちゃなペットショップ、マナーの悪い飼い主、膨大な数の野良犬、公園やマンションから締め出される犬たち、残酷な動物実験、盲導犬などへの無理解……などなどいちいちごもっとも。いっぽう、欧米での犬とのつきあいかた、しっかりしたしつけ、動物虐待防止法などの動物愛護精神、犬の飼育を前提とした(そうなのか?)都市計画……などなどいちいちうらやましい。
 とはいえ欧米万歳にはまってしまうと、こんどは捕鯨反対とか妙な方向にいってしまいかねないので、冷静にならなきゃいかんのだが、しかし、やっぱり日本の犬は不幸でしょう。
 なぜ不幸かというと、日本人が愚かだから、ということに尽きる。《不用犬》だ? 捨てるやつのほうがよっぽど不用人間だ。犬はあくまで犬、人間に利用されてナンボなのはたしかだが、利用するならするで仁義ってもんがあろうよ。捨てるくらいなら自分の手で殺したらどうなんだ。
 てなぐあいに、自分のなかで日本人根本的にバカ説が延々と続いてしまうわけ。
 とりあえず動物飼うやつには最低限の知識があるかどうかの確認テストと愛情をもって飼えるかどうかの宣誓を義務づけてはどうか。それくらいお膳立てしてもらわないと変わらないと思うし、変わらなきゃ動物を飼う資格はないね、この国の人間は。(2000.2.7 黒鼻)

★★★☆


中西章男

集英社 1500円 [Amazon]

 著者は「阿佐ヶ谷ペットクリニック」院長。
 動物を飼う上で避けることのできない「病気」と「死」に直面した飼い主と獣医師の心の葛藤を、著者がこれまでに経験したエピソードを通して読者に問いかける。
 この手の本は数あるが、内容がシンプルでわかりやすい。章ごとの用語解説も丁寧。意図的かどうかは不明だが、自分語り的な部分が少なく、好感が持てる。
 巻末の「私を獣医にした犬」いい。著者の人柄がしのばれる。(2002.8.24 白耳)

★★★☆

▽阿佐ヶ谷ペットクリニック
 http://member.nifty.ne.jp/KOO/


根本寛

WAVE出版 1500円 [Amazon]

 著者は経営コンサルタント、中小企業診断士、また筆跡心理研究家としても活躍中となかなか多才のようだが、購入したマンションに入居後、なんら迷惑行為がなかったにもかかわらず、ペット禁止の規約を制定され、86年から94年まで『横浜ペット裁判』として知られる裁判を闘った本人。裁判の話は思い出すだけで頭に血が上るので省く。タイトルも装幀も地味でいかさないが、これが意外にも当たりであった。犬との生活と裁判のことがバランスよく、簡潔に語られている。マンション飼いのみなさんにおすすめ。著者のいまはなき愛犬ビッキーはイングリッシュ・ビーグル。
 巻末のほうで著者が引いたアメリカの古い裁判の弁論が素晴らしいので、長いがここでも引いておく。

 陪審員諸君、人間がこの世で持つ最良の友も、彼に反し敵となることがありましょう。彼が愛情こめて育て上げた息子や娘も、不孝者となることがありましょう。私どもに最も親しく最も愛すべき者、私どもが自分の幸福と名声を任せるものさえ、その信頼を裏切ることもありましょう。人の持つ富は失うこともありましょう。富は人が最も必要とするときに、人から飛び去ってしまうものです。
 人の名誉は、何か一つ人によく思われない行為があるととたんに犠牲にされます。成功が私どもとともにあるときに膝をかがめて我々を崇める人々も、一旦失敗がその雲を我々の頭上に覆うや、先ず悪意の石を我々に投げる最初の人ともなるでありましょう。
 この利己的な世の中で、人が持ち得る唯一の絶対に非利己的な、決して彼を棄てず、決して恩を忘れたり、裏切ったりせぬ友は犬であります。
 陪審員諸君、人の持つ犬は、富むときも貧に悩むときも、健康のときも病気のときもその主人の味方である。犬は冬の寒風吹き荒び、雪が狂い降るときも、その主人のそば近くおることさえできれば冷たい地面にも寝るのであります。彼は自分にくれる食物を持たない手にも接吻し、世の荒波と闘ってできた傷もなめてくれます。彼は乞食の主人の眠りをあたかも王侯にたいすると同じく番をするのであります。
 他のすべての友が去っても彼だけは残っています。富が飛び去り、名声が粉々になっても彼の愛情はちょうど空を旅する太陽のように不変であります。運命が彼の主人を友もなく、家もなく、世の中に放り出しても、忠実な犬は主人について危険から主人を守り、その敵と闘うより以上の特権を求めないのであります。
 そうして遂にすべてが終わって、死が主人を抱き、その体が冷たい地面に横たわると、他のすべての友はおのおの勝手な方向へ行ってしまっても、その気高い犬は墓のそばにあって頭を前足の間に入れ、眼は悲しげに、しかも敏く見張って大きく開き、死に至るまで忠実で真実であります。(昭和37年発刊 (財)日本動物愛護協会資料より)
(2002.7.9 白耳)

★★★★☆


野村潤一郎

新潮社 950円 [Amazon]

『シンラ』連載「ペットドクター日記」。一生動物と暮らすことができるという理由で獣医を目指し、中野に開業以来、年中無休、睡眠時間3時間のカリスマ獣医師。ずいぶん前に爬虫類やお魚も治しちゃう獣医さんとしてTVに出ておられたが、ついにカリスマですか。真面目くさった説教節のペット本に比べれば格段に面白い。バカ飼い主糾弾、もっとやって下さい。(2000.5.6 白耳)

★★★☆


 2000.4.15初版。「SINRA」連載の獣医エッセイ。
 著者は61年の生まれで、中野で野村獣医科医院をひらいている獣医さんである。そういえば前にテレビで見たことがある顔だ。哺乳類だけでなく爬虫類とかでもなんでも診ちゃう人だ。
 で、彼が出会った、おかしな症例(いや本人、っていうか本患畜にとっては笑い事じゃないんだが)とおかしな飼い主のエピソードをまとめたのが本書。第一部は犬、第二部は猫、第三部はその他、というぐあいに分類されている。なかなかの熱血くんではあるが、文章は素人、ユーモア感覚もちょっとクサい。でも、現場での事例紹介としては簡潔で洞察力もある。全体に好感を持てる本になっている。それにしても、ペットの幸せは飼い主によってしまうんだよなあ、なにがどうあってもね。
 関係ないが、ある作家が自身のホームページ日記上でこの本を紹介したさい、ゴーストライターの腕がよい(文章もうまいしおもしろすぎるので)なんてことを書き、その後、版元から、あれは本人の筆によるものでゴーストは使っていない、と教えられ、恥をかいたのでした。あの文章の未熟さは普通に考えれば素人のものだし(世間のライターの立場がなかろう)、逆にエピソードの活写ぶりは当の本人が書いたことを示しているようなもんだと思うがね。どうにも間抜けだ。(2000.5.9 黒鼻)

★★★


野村潤一郎

メディアファクトリー 1300円 [Amazon]

 Dr.ノムラの“飼育書には書いてない、目から鱗の全100問”。以下、大引用。

「散歩をさせてもらえなかった日、犬はどれくらい残念なのですか?」
 相当残念です。通常、犬は食事より散歩のほうが好きです。食事はどれくらい好きかというと、母犬が赤ちゃんにおっぱいをあげているとき、赤ちゃんをふりほどいて自分の皿に向かうくらい好きです。そのくらい大好きな食事よりも、犬は散歩が好きなのだということを認識して下さい。そもそも犬にとっての散歩は、人間のように「外に出てすがすがしい」という程度のものではありません。散歩は飼い主との共同作業です。世界で一番強くて偉いと認識している自分の親分と、自分の領地をパレードするわけですから、こんな誇らしいことはないわけです。犬と散歩っていうのは、切っても切り離せないものなのです。
「アロマテラピーが趣味ですが、犬にはにおいが強すぎますか?」
 まず、においが強すぎる以前の問題で、犬にとってあの手のにおいは悪臭なんじゃないかと思います。(中略)でも犬がアロマテラピーに使っているあのにおいをかいで心がいやされるかどうかというと、これはおそらくいやされませんね。臭くてもうたまらないんじゃないかと思います。(中略)犬は豚のうんこが腐ったにおいや、ミミズの腐ったにおいを「いいにおい」と感じます。(中略)どうしてもというなら、アロマ犬ピーをやるというのはどうでしょうか。豚のうんこを部屋に置いて、人間が我慢して、犬がうっとりしているのを見て喜ぶわけです。
「学校の校庭で犬が興奮するのはなぜですか?」
 みんなが構うからじゃないですかねえ。
「病院に来た中で史上最低の飼い主はどんな人ですか?」
 本当の意味での史上最低の飼い主は、病院に来ない飼い主なんですよね。(中略)どんな人がむかつくかというと、まず金持ちなのに値切る人。金がない、金がないと言っているのに、マセラティに乗って通ってきてるんです。
「しつけのために犬をぶってもいいですか?」
 これはもう、ぶっていいです。時には体罰も必要です。(中略)まがいものの本には、床をドンとたたいて「ノー」とかいうと書いてあるけど、そんなことをやったら、犬は余計におもしろがっちゃう。(中略)思い切りぶんなぐらないとだめです。じゃないと、どんどんエスカレートしますから。そのような時もやはり現行犯でぶたないとわかりません。(中略)相手が「ヒッ」となるくらい。首をすくめるくらいぶってこりさせて下さい。そうすれば次から体罰は不要になります。(中略)ちゃんとその辺のことをしつけておかないと、走り回るバカ犬の前で一生、床を「ノー」と言いながらたたく、みっともない飼い主になってしまいますね。
 著者の手による挿し絵がいい(表紙・本文とも)。巧みなことにも驚くが、なにより、犬に対する愛がある。(2000.5.29 白耳)

★★★★★+☆


検証アニマルセラピー ペットで心とからだが癒せるか

林良博

講談社/ブルーバックス 800円 [Amazon]

 1999.5.20初版。動物をつかった療法、いわゆるアニマルセラピーについての本。老人ホームに犬や猫つれて遊びに行って喜ばせたり、自閉症の子がイルカと遊んで元気になったり、各種の試みがなされているわけですが、外国での実績と比較しての日本人に適したアニマルセラピーを模索してるんだわさ的な話です。興味深い事例もあったけど、犬猫飼ってるから血圧が低いのなんのというのには疑問符だなあ。犬猫なでると血圧が下がるそうですが、そりゃなでる暇があるってことは血圧もむやみに上がらないのでは。
 警察犬、災害救助犬はもとより、盲導犬も聴導犬も麻薬犬もいれば番犬もいる。馬なんかも長年人間とつきあってきているし、猫もそうだし。だからまあ役に立つのはわかってるし、それはいいことだとは思うけど、ふつうの人間にとっては役に立つ立たないで飼ってるわけじゃないのであって、でもこうして役に立っているのだよという啓蒙をすれば幸せに生きられる動物が増えるのでしょうし、なんとも複雑。(1999.10.3 黒鼻)

★★


動物と人間の世界認識 イリュージョンなしに世界は見えない

日高敏隆

筑摩書房 1600円 [Amazon]

 昔から「犬は人につく、猫は家につく」と言われるが、犬と暮らしていると、どうも犬は「人」というより「群れ」についているような気がする。
 犬(の態度)がもっとも充足して見えるのは、群れの構成員、つまり人間側から言うなら家族全員がそろっているときで、その群れが離散する気配を感じるや、とたんに落ち着きがなくなる。とりわけ、ひとりぼっちでの留守番には敏感だ。おとなしく見送ることもあるが、日によっては遠吠えまでして呼び戻そうとする。コヤツの眼にわたし(及び家族)はどう映っているのだろうと思うことがある――そんな疑問にこたえてくれる本。
 著者は動物行動学者。堅苦しいタイトルにしばらく手が出なかったが、読んでよかった。平易な言葉で語られるとても難しいこと。こんな本、めったにない。(2004.3.29 白耳)

★★★★☆


盛田斌[ダクタリ動物病院院長]

講談社 1500円 [Amazon]

「犬と考える正しい付き合い方」として、犬たちの素朴な疑問に先生が答えるという構成。

:エアデール・テリアのジャックです。ご主人は「もうすぐ6ヶ月になるから、訓練を始めよう」といっています。「訓練」って何でしょうか。どんなことをするんですか? 散歩のときに会う仲間にも聞いてみましたが、「やったことない」とか「食ったことない」と言います。いやならやらなくてもいいんでしょうか?
:訓練といってもいろいろあるんだ。警察犬や麻薬捜査犬の訓練、盲導犬の訓練、災害救助犬の訓練なんかがある、こうした訓練は「学校」に何ヶ月か預けられて受けるんだ。(中略)ご主人が君をリードしてくれて、しかも楽しいから、いやなことなんか何もないよ。これからずっといっしょに暮らすんだから、ご主人がその気なら、ぜひ受けてごらん。 (「Case5  訓練と遊び」p.134より)
 読んでててなんだかむずむずしてくるが、わかりやすくはある。飼い始め関係者向け。(白耳)

★★★☆


吉田悦子

新人物往来社 2400円 [Amazon]

 月刊『愛犬チャンプ』連載96年9月〜98年7月の23回分。犬に関わる職業に就く女性たちのレポート。トリマー、出張訓練士、ハンドラー、動物看護士、獣医師、ブリーダー、カウンセラー、ドッグシッター、ペットグッズ関係、ペットフード関係、麻薬探知犬ハンドラー、災害救助犬トレーナー、盲導犬訓練士、聴導犬トレーナー、災害救助犬トレーナー、撮影コーディネーター、ドッグカメラマン、画家、テーマパーク飼育管理など、こうしてみるとずいぶんありますねえ。人に重点が置かれているため内容的にはやや物足りなさを感じるが、志望者の手がかりにはなるだろう。しかしながら、この地味な本に2400円はちと痛い。(2000.5.8 白耳)

★★★