犬本―【海外/ナ】―その1

C・W・ニコルの「人生は犬で決まる」

C・W・ニコル

竹内和世・訳 鈴木龍一郎・写真 小学館/小学館文庫 533円[Amazon]

 1999.8.1初版。アイリッシュ・セッターの写真も楽しめる、アウトドアのウェールズ人ニコルの犬エッセイ本です。黒姫に定住し、はるばるイギリスからアイリッシュ・セッターの「モーガス」を連れてきたニコル。いたずら小僧に振り回されて大変な騒ぎになるが、そこはそれ、長年大自然を相手に生きてきた著者ですから犬の扱いにもなれています。やがてモーガスの連れ合いとなる「メガン」も加わり、さらにはニコル夫妻の娘も生まれ、にぎやかな生活になるんですが……。
 文庫化に際し、あらたに書かれた終章は、やはり犬飼いにはつらいものが。
 ま、いわゆる「犬本」なのですが、親ばか飼い主エッセイとは一線を画していて、犬とのつきあい方についての考察なんかも書かれています。ニコルの、犬に対する見方は(そういう文化で育ったのだから当然とはいえ)気持ちがいい。こういう文化は、おそらく地球滅亡まで日本には根づかないのだろうなあ。やれやれ。(1999.8.1 黒鼻)

★★★


 黒姫の赤鬼ことニコルさんと、アイリッシュ・セッターのモーガスとメガン。ニコル家の犬は主人とともに山に分け入り、川に飛び込む。モノクロ写真とともに綴られる犬と生活。「犬生」もまた飼い主で決まる。(1999.8.23 白耳)

★★★☆