バベルの犬 The Dogs Of Babel
小川高義・訳 角川書店 1800円 [Amazon]
2004.10.30 初版。原著(c)は2003年。★★★★
バスターのきもち Buster's Diaries As Told To Roy Hattersley
山田久美子・訳 朝日新聞社/朝日文庫 620円 [Amazon]
「男」と暮らすようになったおれは堕落しちまったようだ。こころならずも愛想をふるまくし、尻尾も振っちまう。まあ、そのうちどっちが上だか思い知らせてやるつもりだけどな――ジャーマン・シェパードとスタッフォードシャー・ブルテリアの間に生まれたバスターが、英国労働党議員のハタズリー氏に口述した日記。けさは、すいぶん早くバッキンガム宮殿を通ったのに、外の道路は人でごったがえしていた。たぶん日本人だ。たいがいそうだから。日本人は犬と同じで、群れの動物なんだ。(中略)彼らはいつも、人間と犬が一本の紐で結びつけられているのを初めて見たという顔をしておれたちを見る。けさ、そのなかのひとりがおれにカメラを向けて、盛大にフラッシュをたいた。おれが吠えると、〈男〉が言った。「日本では犬を食べるんだぞ。もう一度吠えたら、お前を朝食に持ち帰ってもらうからな」(p.134)姿や行動はよく似てるかもしれないけど、犬を食べるのはお隣の国だということをいちおうお断りしておく。「犬好き」必読の書。
★★★★★
▽バスターの公式サイトアンジュール ある犬の物語 Un Jour, Un Chien
BL出版 1300円 [Amazon]
ある日、犬は疾走する車の窓から投げ捨てられる。犬は車を追って走り、あきらめ、佇み、また歩き出す。長いさすらいの日々。やがて犬はひとりぼっちの子どもと出会い――。★★★★★
犬嫌い Barking At Butterflies And Other Stories
嵯峨静江・他訳 早川書房/ハヤカワ・ミステリ 1100円 [Amazon]
ひさしぶりのポケミス。犬タイトルで即買いです。エヴァン・ハンターの短編集。エヴァン・ハンターはエド・マクベインの別名ですね。★★★★
LOST ロスト Lost And Found Pet Posters From Around World
株式会社トランネット・訳 アーティストハウス 1200円 [Amazon]
著者が10年かがりで世界中から集めたという「ペット探し」のチラシ100枚を収録した本。気分がふさぐときは読まないほうが無難。読むというより見るか。どの国の人もいなくなったペットを探す気持ちは同じである。巻末の「迷子ペットのポスター作りのヒント」は親切。ただ、書き文字ふう書体がわたしのようなばあさんには読みづらい。(2003.3.30 白耳)★★★★
▽「LOST」委員会の「LOST&FOUND」運動わたしを見かけませんでしたか? Has Anybody Seen Me Lately?
浅倉久志・訳 早川書房/ハヤカワ文庫 700円 [Amazon]
このごろの階段は、むかより勾配がきつくなったように思う。わたしたちの時代に比べて、いまの学生は非常に礼儀正しい。みんながわたしに「サー」と呼びかける――中年男性の悲哀をユーモラスに描き、そのあまりにも身につまされる内容から盗作が相次いだという名作『あなたの年齢当てます』をはじめとする、日常生活のスケッチ19篇。著者は1902年生まれの「ユーモア・スケッチの第一人者」。故人です。「2 人間の選び方」より。
まず第一歩は、自分に合った人間を選ぶことである。子犬は細心の注意をはらって選択をおこなうだけでなく、決断する前に犬舎の外のあらゆる状況を頭に入れなくてはならない。(中略)
なによりもたいせつなのは、犬に呼ばれたらいそいそとやってくる人間、利口で、気立てがよく、健康な人間を見つけることである。これはと思う相手に前足をあずけたら、歯ならびがいいか、歯ぐきは丈夫か、口臭はないか、目が澄んでいるか、扁平足ではないか、血色はいいか、表情はどうか、こうした点を注意深く観察しなくてはいけない。(p.165-166)
「4 高度な服従訓練」より。なんか、とってもなごみません?(2004.10.28 白耳)
たいていの人間には、先天的に物を拾う癖が備わっているため、犬がすこしおだててやれば、平均的な人間でもとびきり優秀なレトリーバーになれるのだ。(中略)
人間はボールを居間の一端に持っていき、二、三度つばをつけてから、敷物の上でボールを犬のほうへころがし、同時に、「とって!(フェッチ)」とさけぶ。犬はそのボールが自分の横を通りすぎて、書棚の下にもぐりこむのをじっとながめる。それを見て、人間は居間の反対側まで行き、四つんばいになってボールを書棚の下からかきだし、ズボンでゴミを拭きとってから、犬のほうにころがし、「とって!」とおなじ言葉をくりかえす。(p.178)
★★★★
フリスビードッグ Frisbee Dogs
ペットライフ社 1800円 [Amazon]
著者は――1976年世界フリスビー大会男性部門チャンピオン。愛犬ウィザード(ボーダーコリー)をワールドチャンピオンにし、人間と犬の両方でチャンピオンになった唯一の人。ウィザードは無敵のまま引退。フリスビー・ドッグの最高名誉のアシュレイ・ウィペット栄誉殿堂入りを果たす――という、すごい人、と犬。フリスビーの歴史に始まり、犬とディスクの基礎知識、基本トレーニング、上級者向けトレーニング、競技会及びルール、競技会に勝つ方法、また、犬との移動手段まで網羅した内容。本格的に始めたい向きには大いに参考になること間違いなし。とくに犬とのコミニュケーションについては一読の価値あり。フリスビーしない人と犬もぜひ。(白耳)★★★★★
25時 The 25th Hour
田口俊樹・訳 新潮社/新潮文庫 629円 [Amazon]
厳冬のニューヨーク。モンティはあす収監される。刑期は7年。刑務所で若い白人男性を待ち受ける運命は恥辱に満ちている。選択肢は服役、逃亡、自殺――モンティは愛する者たちと淡々とした一日を過ごす。★★★★
ドクター・ヘリオットの犬物語 James Herriot's Favourite Dog Stories
大熊栄・訳 集英社 2100円 [Amazon]
1995年に亡くなった著者が「特に気に入っていた犬に関するエビソード」10篇を収載。表紙ボーダー・コリー。10篇のうち2篇がボーダーコリーの話。★★★★★+☆
世にも有名な犬たちの物語 La Vie Des Chiens Celebres
檜垣嗣子・訳 文藝春秋 1905円 [Amazon]
有名人に愛された犬たち、名作の中の犬たちをめぐる、愛すべきエピソード集。★★★
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