犬本―【海外/その他】《絵本・写真集・ジョーク・漫画・タイトルだけ等》―その1

イヌとネコの生活事情

フィリップ&リオネル・コクラン

岡元麻理恵・訳 紀伊國屋書店 1500円 [Amazon]

 フランスで人気のコミック・エッセイ。パリのアパルトマンでお留守番をするイヌとネコのお話。ページ毎に完結するぶつ切りの会話に犬猫らしさを感じる。
 冒頭で飼い主夫婦が出掛けた直後、イヌが恋しさのあまり遠吠えをする。そうするとネコが「やめろ、もう遠くにいっちゃったよ」といさめる。おかしい。いや〜な犬猫本に憤懣を溜めていらっしゃる、全国のうるさい飼い主の皆さん、おすすめです。(1999.6.7 白耳)

★★★★


 犬猫留守番漫画(パリのアパルトマンだから留守番も豪華さね)。犬猫並べてみると、やはり猫のシニカルさに軍配があがるのかしらねえ。犬ってばほんとにおばか。
 ネコがイヌに対して「イヌってのはオナラ芸人だな」。で、イヌは「オナラ芸人ってなに?」となにもわかってない風。こういうのがツボにはまってしまったのは、飼っているからという理由だけなのかなあと自問自答のワタクシです。
 特色の金が効果的な装丁もイカしてます。(1999.6.8 黒鼻)

★★★☆


ダーシェンカ Dasenka

カレル・チャペック Karel Capek

伴田良輔・訳 新潮社/新潮文庫 400円 [Amazon]

 絵本。ダーシェンカはフォックステリアの小犬。「ダーシェンカのための八つのおとぎ話」は、“やんちゃでおちゃめなダーシェンカをなんとかして静かにさせようと、作者がそばで語って聞かせる寝物語”。うっとりするようなモノクロ写真集「ダーシェンカのアルバム」付き。原著とは構成が違うとあるが、ぜんぶ見たいなあ。なんとも心あたたまる一冊。(白耳)

★★★★


ダーシェンカ 小犬の生活 DASENKA cili zivot stenete

カレル・チャペック Karel Capek

伴田良輔・訳 新潮社/新潮文庫 400円 [Amazon]

 『ダーシェンカ』の続編。1933年に出版された『ダーシェンカ』第一章の全訳。わかりにくいな。1933年の原著『ダーシェンカ』がどうなっているかというと、第一章『ダーシェンカ、あるいは小犬の生活』、第二章『小犬の写真を撮影するには』、第三章『ダーシェンカのための八つのおとぎ話』、第四章『ダーシェンカのアルバム』という四部構成。つまり先に出た『ダーシェンカ』は二章以下で、本書『ダーシェンカ 小犬の生活』が第一章。訳者の解説に“第一章は残りの章と文体も少しことなり、あらためて独立して一冊にまとめたいと考え”「続編」とした、という説明あり。
 わたしには本を奥付けや出典一覧から読むという浅ましい癖があるが、最終ページの版面左右中央の一行「ダーシェンカ、いい子でいるんだよ」にはほとほと参った。こういうの、ほんとだめ。いっぱつで腰砕け。とほほ。(2001.3.12 白耳)

★★★★


アンジュール ある犬の物語 Un Jour, Un Chien

カブリエル・バンサン Gabrielle Vincent

BL出版 1300円 [Amazon]

 ある日、犬は疾走する車の窓から投げ捨てられる。犬は車を追って走り、あきらめ、佇み、また歩き出す。長いさすらいの日々。やがて犬はひとりぼっちの子どもと出会い――。
 鉛筆デッサンだけで描かれた絵本。活字はなく、すべて絵によって綴られた物語である。だが、この説得力はどうだ。投げ捨てられた犬が全速力で車を追い、やがて見失い、うなだれ、そして別の車の気配に顔を上げる最初のシーンだけで、胸がしめつけられる。せつなくてやり切れなくなる。本書を手に取った人は、すべての犬の悲しみと喜びを知ることができるだろう。こんな絵本があったとは!(2002.9.10 白耳)

★★★★★


LOST  ロスト Lost And Found Pet Posters From Around World

イアン・フィリップス Ian Phillips

株式会社トランネット・訳 アーティストハウス 1200円 [Amazon]

 著者が10年かがりで世界中から集めたという「ペット探し」のチラシ100枚を収録した本。気分がふさぐときは読まないほうが無難。読むというより見るか。どの国の人もいなくなったペットを探す気持ちは同じである。巻末の「迷子ペットのポスター作りのヒント」は親切。ただ、書き文字ふう書体がわたしのようなばあさんには読みづらい。(2003.3.30 白耳)

★★★★

▽「LOST」委員会の「LOST&FOUND」運動
 http://lostandfound.artisthouse.co.jp/


キム・レヴィン Kim Levin

江國香織・訳 竹書房 980円 [Amazon]

 かわいくておもしろい犬の写真集。作者は動物写真を得意とする写真家。訳者はここのところ絶好調の江國香織。姉妹本『どうして猫が好きかっていうとね Why We Love Cats』もあります。こちらは松本侑子訳。
 犬が見せる一瞬の表情の切り取り方は見事。気取らず作らず好感が持てる。訳は、どうでもよろしい。疲れたときのぱらぱら読みに。(2002.7.7 白耳)

★★★☆