犬本―【国内/や】―その1

うちの愛犬を一日でも長生きさせる方法

安川明男

講談社/講談社+α新書 780円

 タイトル「愛犬」にはルビ「こ」。“うちのこ”、ですね。著者は獣医さん。さして目新しくもない内容でちと眠いですが最終章の「病気の症状と対策」わかりやすく資料性あり。ところで、犬とヒトの年齢についていろんなところでいろんな人がいろいろいいますが、どれが正しいんでしょうね。参考までに、本書掲載の犬と人間の年齢対応表を以下に。(2000.10.16 白耳)

1カ月半 4歳 5年 36歳 14年 72歳
3カ月 6歳 6年 40歳 15年 76歳
6カ月 10歳 7年 44歳 16年 80歳
9カ月 13歳 8年 48歳 17年 84歳
1年 15歳 9年 52歳 18年 88歳
1年半 20歳 10年 56歳 19年 92歳
2年 24歳 11年 60歳 20年 96歳
3年 28歳 12年 64歳 21年 100歳
4年 32歳 13年 68歳

(p.142「(社)日本動物病院福祉協会資料」より)

★★(飼い始めの人向き)


犬は「びよ」と鳴いていた

山口仲美

光文社・光文社新書 740円 [Amazon]

 著者は1943年生まれ、埼玉大の教養学部教授、文学博士。『平安文学の文体の研究』『ちんちん千鳥のなく声は〜日本人が聴いた鳥の声〜』『平安朝“元気印”列伝』など著書多数。

私が一番最初にひっかかったのは、平安時代の『大鏡』に出てくる犬の声です。「ひよ」って書いてある。頭注にも「犬の声か」と記してあるだけのです。私たちは、犬の声は「わん」だとばかり思っていますから、「ひよ」と書かれてもにわかには信じられない。雛じゃあるまいし、「ひよ」なんて犬が鳴くかって思う。でも、気になる。これが私が擬音語・擬態語に興味を持ったきっかけでした。(第一部「擬音語・擬態語に魅せられる」より)
 というわけで、英語の三倍、1200種類に及ぶという日本語の擬音語・擬態語の歴史と謎を解き明かした本。
 まず、タイトルいい。わたしのような犬好きが手に取る。巻末で本人が「類書がないのが強み」と鼻息も荒く述べているが、たしかにこういうアプローチは珍しい。用例も古典文学から現代の少女漫画まで柔軟に引かれ、面白く読めた。
 ただ、「難しいことをわかりやすく」はわかるが、嬢ちゃんくさい言葉遣いが気になる。

「私はといえば、むろん擬音語・擬態語大好き人間です」(p.12)
 なんてさ。いまどき「ナントカ大好き人間」もなあ。著書のタイトル『平安朝“元気印”列伝』もなんだかなあ。ご専門の割には言葉のセンスのろくさし。(2002.9.10 白耳)

★★★


吉田悦子

新人物往来社 2400円 [Amazon]

 月刊『愛犬チャンプ』連載96年9月〜98年7月の23回分。犬に関わる職業に就く女性たちのレポート。トリマー、出張訓練士、ハンドラー、動物看護士、獣医師、ブリーダー、カウンセラー、ドッグシッター、ペットグッズ関係、ペットフード関係、麻薬探知犬ハンドラー、災害救助犬トレーナー、盲導犬訓練士、聴導犬トレーナー、災害救助犬トレーナー、撮影コーディネーター、ドッグカメラマン、画家、テーマパーク飼育管理など、こうしてみるとずいぶんありますねえ。人に重点が置かれているため内容的にはやや物足りなさを感じるが、志望者の手がかりにはなるだろう。しかしながら、この地味な本に2400円はちと痛い。(2000.5.8 白耳)

★★★


ワン・ワールド 輝く犬が降る夜に

米山公啓

廣済堂 1200円 [Amazon]

 犬短編集。カバー犬写真、本文中モノクロ犬写真ページ有りの、犬と人間のメルヘンなお話10本収載。
 眠い。一編毎に挿入されている詩もなんだか……。犬との付き合いにロマンティシズムを感じる余裕のない粗野な読者です、はい。(1999.6.14 白耳)

★☆