越犬漫才▼其の一

『愛犬の友』掲載記念作品(笑)



耳:なんとまあ「愛犬の友」に紹介されたようですな。
鼻:へっ、あの、「愛犬の友」に!?
耳:ははあ、知ってますか。
鼻:知りません。
耳:知らんのかい。2月号に出てますよ。
鼻:わたしが?
耳:キミを出してどうする。「Dog-Ear Press」が、や。
鼻:犬なんか出してどないすんねん。
耳:犬の雑誌やがな。それでまあその記念にね。
鼻:はあ、記念ですか。
耳:いやまったく犬というのは可愛い。
鼻:そんな可愛いもんかねえ。
耳:うちの犬は可愛い。ボール投げたら拾いますからね。
鼻:ああ、それ、うちのもやりますよ。
耳:キミも犬飼っとんのか。
鼻:ボクのあとをついて歩きよるしね。
耳:可愛いじゃないですか。
鼻:電池きれたら止まりますしね。
耳:そりゃアイボやないか。
鼻:人生の相棒やね。
耳:なにをごちゃごちゃ。犬にもいろいろな種類がおりましてな。
鼻:小さいのから大きいのまでねえ。
耳:毛の長いのから短いのまで、いろいろいるねえ。
鼻:血統書付きから決闘場付きまで。
耳:決闘場なんかつけてどうする。
鼻:キミはどんな犬が好きですか。
耳:ボーダーコリーがいいですね。
鼻:えっ! またそんなひどいことを! アンタって人は……。
耳:へぇ? なんでひどい?
鼻:日頃じぶんは、あんだけ犬が好きだとか動物愛護だとか児童虐待だとかぬかしといてこの、悪魔!
耳:児童虐待はゆうとらんやろ。
鼻:それなのに、いうに事欠いて「ボーダーコリーが好き」ィ!?
耳:なにが悪いねん。
鼻:口ではそう、可愛がっているとかいってても、外に連れて行くんやろ?
耳:そりゃ散歩ぐらいするがな、義務やろ飼い主の。
鼻:そこへ現われるは広域暴力団化け猫会系黒猫組の鉄砲玉。
耳:はあ?
鼻:銃を構えて「おどりゃあ、覚悟せえ!」ズドーン!
耳:なんでそんなもんが出てくんねんな。黒猫組ってなんやねん。
鼻:すかさず飼い犬が間に入って、そこへ弾が命中。崩れ落ちる飼い犬や、かわいそうになあ。虫の息で「おやっさん……」。
耳:誰がおやっさんやねん。
鼻:「だいじょうぶか」「俺の命……おやっさんに預けましたから……悔いはありません」「哲ぅ!」「おやっさん……」がくっ、や。泣けるのう。
耳:キミはさっきからなにをごちゃごちゃゆうてる。
鼻:だからキミはそういう犬が好きなわけでしょ?
耳:せやからなんでて?
鼻:そんなもん、ゆうたやないか、防弾コリーが好きやて。
耳:やめさせてもらうわ。(2001.2.2)



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