相性の問題
犬同士の相性は難しい。テスがどういう犬が好きで、どういう犬が嫌いなのか、いまだにさっぱりわからない。
近所にテスが目の敵にしている黒ラブのSくんがいる。40キロはかたいと思われる巨大な黒ラブだ。さらに犬嫌いの子どもだったらおしっこちびるような凶悪な面構え。だが、本犬はいたって穏和。その気になったら簡単に引き倒せそうな飼い主さんにぴったりついて、のんびりと歩いている。
問題はウチのお嬢さんだ。Sくんと見るや立ち止まり、押しても引いてもびくともしない。全身にみなぎる緊張感。こうなるともう何を言ってもダメで、リードを引き絞り、嵐が通り過ぎるのを待つしかない。「ごめんなさい、ごめんなさい」と叫びながら、荒れ狂う飼い犬を引きずるときの腹立たしさよ。
テスは黒ラブが嫌いか。答えはノーだ。会えば和やかに尻を嗅ぎ合う黒ラブもいる。好き嫌いは犬種によらない。同じ犬種同士は仲良しだと思い込んでいる人がいるが(まじで)、それは間違いである。テスはせっかく知り合ったボーダーコリーのPちゃんに嫌われている。
一度でもやり合ったことがあると、飼い主のわたしも警戒するから、そのせいかもと思い、こちらから必要以上に明るく挨拶をするなどしてみてもダメ。
もしかしたら人間と同じなのかもしれない。話したこともないのに、なんだかいけすかないヤツ。だれもが「いい人」と口をそろえるが、どうにもいけすかないヤツ。試しに話してみたけど評価は変わらず。以来、会うたびにやり合うことに。相手が男だろうが女だろうが、年上だろうが年下だろうが、イヤなものはイヤ。うりゃあっ! ……ってとこか。あっ、これって人間というより、わたしの性格そのものではないか。しまった、やられた。(2002.1.16)
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