犬友2:ラビリンス


一日目
 「まあっ、きれいな犬ねえ。なんていう犬?」
 「ボーダー・コリーです」
 「あら、コリーなの? むかし実家にいたのよ」
 「そうですか」(ラッシーのコリーに違いない……)
 「名前なんていうの?」
 「テスといいます」
 「まあっテツなの? うちの猫と同じよ!」
 「テスです」
 「テツでしょう? おんなじ。テッちゃんっていっちゃうんだけどね、うふふ」
 「テ、ス、です」
 「そうなの、テツなの。ねえテッちゃん、いい子ねえ!」




二日目
 「あらっ、テッちゃん、でしょ?」
 「ええ、こんにちわ」
 「うちの猫もテツていうのよ!」
 「そうですか。うちはテ、ス、なんですけどね」
 「テツでしょう? おんなじ。テッちゃんっていっちゃうんだけどね、うふふ」
 「そうですか」(^_^;)
 「なんていう犬?」
 「ボーダー・コリーです」
 「あら、コリーなの? むかし実家にいたのよ」
 「そうですか」(-_-;)
 「ねえテッちゃん、いい子ねえ!」




三日目
 「あっ、テッちゃんが来た。いつ見てもきれいね!」
 「こんにちわ」
 「うちの猫もテツっていうのよ」
 「そうですか。うちはテ、ス、なんですけどね」
 「テツでしょう? おんなじ。テッちゃんっていっちゃうんだけどね、うふふ」
 「そうですか」(-_-;)
 「コリーでしょう?」
 「ええ……ボーダー・コリーです」
 「むかし実家にいたのよ」
 「そ、そうですか」
 「ねえテッちゃん、いい子ねえ!」




四日目(この日、おばさんAはおばさんBと立ち話中であった)
おばA「あっ、テッちゃんが来た。この犬テッちゃんっていうのよ!」
おばB「あら、おたくの猫ちゃんと同じじゃない」
  私「うちはテスなんですけどね」
おばA「テツでしょう?」
  私「テ、ス、です」(-_-;)
おばA「そうそう、おんなじ。でもテッちゃんっていっちゃうんだけどね、うふふ」
おばB「なんていう犬?」
おばA「コリーなんだって。むかしうちの実家にいたのとおんなじ」
おばB「あら、コリーなの」
  私「ええ……ボーダー・コリーです」(-_-;)
おばA「ねえテッちゃん、いい子ねえ!」




 ある種のおばさんは、どういうわけか人の話を聞かない。上記のように間違い倒したまま月日は流れ、気の弱いわたくしは、そのうちなんとなく散歩コースをかえることになるのである。(2000.9.16)


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