犬友2:ラビリンス
▽一日目
「まあっ、きれいな犬ねえ。なんていう犬?」
「ボーダー・コリーです」
「あら、コリーなの? むかし実家にいたのよ」
「そうですか」(ラッシーのコリーに違いない……)
「名前なんていうの?」
「テスといいます」
「まあっテツなの? うちの猫と同じよ!」
「テスです」
「テツでしょう? おんなじ。テッちゃんっていっちゃうんだけどね、うふふ」
「テ、ス、です」
「そうなの、テツなの。ねえテッちゃん、いい子ねえ!」
▽二日目
「あらっ、テッちゃん、でしょ?」
「ええ、こんにちわ」
「うちの猫もテツていうのよ!」
「そうですか。うちはテ、ス、なんですけどね」
「テツでしょう? おんなじ。テッちゃんっていっちゃうんだけどね、うふふ」
「そうですか」(^_^;)
「なんていう犬?」
「ボーダー・コリーです」
「あら、コリーなの? むかし実家にいたのよ」
「そうですか」(-_-;)
「ねえテッちゃん、いい子ねえ!」
▽三日目
「あっ、テッちゃんが来た。いつ見てもきれいね!」
「こんにちわ」
「うちの猫もテツっていうのよ」
「そうですか。うちはテ、ス、なんですけどね」
「テツでしょう? おんなじ。テッちゃんっていっちゃうんだけどね、うふふ」
「そうですか」(-_-;)
「コリーでしょう?」
「ええ……ボーダー・コリーです」
「むかし実家にいたのよ」
「そ、そうですか」
「ねえテッちゃん、いい子ねえ!」
▽四日目(この日、おばさんAはおばさんBと立ち話中であった)
おばA「あっ、テッちゃんが来た。この犬テッちゃんっていうのよ!」
おばB「あら、おたくの猫ちゃんと同じじゃない」
私「うちはテスなんですけどね」
おばA「テツでしょう?」
私「テ、ス、です」(-_-;)
おばA「そうそう、おんなじ。でもテッちゃんっていっちゃうんだけどね、うふふ」
おばB「なんていう犬?」
おばA「コリーなんだって。むかしうちの実家にいたのとおんなじ」
おばB「あら、コリーなの」
私「ええ……ボーダー・コリーです」(-_-;)
おばA「ねえテッちゃん、いい子ねえ!」
ある種のおばさんは、どういうわけか人の話を聞かない。上記のように間違い倒したまま月日は流れ、気の弱いわたくしは、そのうちなんとなく散歩コースをかえることになるのである。(2000.9.16)
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