チョーカワイイって感じィ?


 荻窪のmoon様からお便りをいただいた。


 先週長野の姉の家に遊びに行き、毎朝夕、姉の愛犬ミッキー(ポメラニアン)のお散歩がてら善光寺の境内を散策しておりました。散策自体は楽しいのですが、長野あたりでポメと歩いておりますと、かなりの確率で「カワイイ」と(犬が)声をかけられます。私は慣れていないので、うつむくしかなく、たじろいですらいるのですが、これも慣れてくると、「ほれ、かわいいだろう」と自負した主の嫌らしい顔へと変化していくものなのでしょうか。
 気がついたことといえば、犬をかまおうとするお嬢様の胸元がちょうどうつむき加減の私の視線にドンピシャリ! 夏であるならばこういうひそかな楽しみもあるには、あるなとニンマリするわけであります。素人が犬と付き合うと新鮮な驚きでいっぱいです。ハハハ。


 お嬢様の胸元はさておき(笑)、犬を連れていると見知らぬ人に声を掛けられることがほんとうに多い。

 犬連れ同士はいうまでもない。初対面でも「長い立ち話」になることがある。別れるタイミングがつかめない時は、たとえ犬がじっとしていても「わかったわかった、帰ろっか」とかなんとかいえばいいので楽である。
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 相手が人間単独の場合。犬を見てにこにこしながら通り過ぎる人がもっともふつう。わたしもひとりのときはそうすることにしている。軽く口笛を吹く人がいる。そういう人は猫がいれば「ちっちっ」と口を鳴らすに違いない。
 犬が喜んで寄っていくと「うちも犬がいるんですよ」または「むかし犬を飼ってたんですよ」と仰る方が大部分だが、半年に一回くらいのペースで、波瀾万丈の身の上話を聞かされる羽目に陥ることがある。
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 こわいのは「いぬー」と叫んで突進してくる人。どういうわけか太めの女性が多い。
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 あと犬おたく。何にでもおたくはいる。
 ボーダー・コリーは“玄人受け”するのか、その手の人のご高説を賜る機会が多い。たいへん勉強になったりもするが、のほほんと飼っていてはいけないような気がしてしまい、正直言って疲れる。相手によっては腹が立つこともある。「あっ爪が伸びてる、かわいそー走らせてないですね?」といわれたときには、飼い主そっちのけでテスにマウンティングをしくさっているチャンピオン直子素敵な黒ラブを蹴飛ばしてやろうかと思ったぜ。
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 興味深いのはコギャルの方たちである。
「あっ犬。チョーかわいくない?」
 と声がする。愛想をいおうと顔を見るが、コギャルの方たちはべっつに話しかけたわけじゃないのよねとでもいうふうで、とりつくシマもない。それでも「会話」は続く。
「チョーきれい」
「チョーふさふさ」
「外国の犬って感じぃ」
「チョー金持ちの犬って感じぃ?」
 あの、その、いえ、それほどでも。うはは。(2000.11.11)



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