犬のCM


 子供や動物を出すなどとはけしからん、安直だ姑息だ、とテレビに向かって因縁をつけるウルサい友だちがいる。けっこう好きなどと言って、ますますウルサくなったら困るので黙っているが、わたしは犬や猫が出るCMが好きである。

 いまもっとも気に入っているのがシーバス・リーガルのCM。「仕事をかえた。結婚は二回。でも犬はずっと一緒」といって、焼いていた分厚いステーキを小さなテリアにやるというもの。

 JTの企業広告。船のデッキで一服しようとしているお馴染みの男。写真撮影や子供に阻まれ、舳先のほうでやっとパイプをやる船長に灰皿をすすめられるが、火をつけようとしたとき脇から犬が顔を出す。ボーダー・コリーなんですよこれが。(ここでダウンロードできます。QuickTime版もRealPlayer版もアリ。→http://www.jtnet.ad.jp/WWW/JT/JTI/delight/TV/tvcm5.html
CM画面


 ボーダー・コリーではBVDのCMもよかった。

 作業着姿の若者が自動販売機の中身を補充しているのを、壁のところから顔だけ出した柴タイプの仔犬がじっと見ている。何のCMだろう?

 少し前になるけど、浅田次郎の「民子のことが忘れられない」。秀逸。

 ラブラドール・レトリーバーのゴン太。春夏秋冬「ほねっこ食べて〜」というのと、ドーベルマンと将棋をしているのがいい。

 防犯システムのCM。唐草模様の風呂敷を背負った泥棒が、忍び足でリビングを横切ろうとしている。ソファで居眠りを決め込んでいる立派なゴールデン・レトリーバーがふと顔を上げる。タイミングがよくて笑える。

 ペディグリーチャムの「トップブリーダー」もの。さすがにどの犬たちも素晴らしく、感動的であるうえに、犬とブリーダーさんの顔がそっくりなのが笑える。それを狙ったかモーフィングをかけたようなものあったと記憶。

 キャットフードのCM。床で跳ねて二階の窓から飛び出したドライフードの一片を、アメリカン・ショートヘアーと思しき猫が、ジャンプ一発キャッチ。庭で見守る仲間のところへ見事な着地を決める。「どうよ!」とでも言いたげな猫の表情がいい。

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 もちろん嫌なCMもある。

 自転車を漕ぐダルメシアンが出るもの。ペット番組で評判になったようで、一時期よく見かけた。さいきんではマクドナルドのCMに出ているような気がするが、他犬の空似か。これは犬のせいではない。飼い主が嫌なやつなのだ。

 瓶詰めのカクテルのCMで、2頭のブルドッグがだらだらと汗をかくもの。面白くもなんともない。不潔で見苦しい。

 動物の自然な姿をうまく使ったものがいい。不自然に固まっていたり、偽の足(ぬいぐるみか何かだろう)を使ったりするのは感心しない。面白ければいいというものではないのだ。愛犬家の目は厳しいぞ。(2001.6.7)



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