最優秀助演犬賞2


 それは『ベイブ』のフライとレックスである。ともにボーダー・コリーであることを割り引いても優秀であることにはかわりがない。
 フライとレックスは夫婦である。犬が異性に対してどういう認識を持っているのか知らないが、ホゲットさんの農場にほかに犬はいないし、ともかくそういうことになっている。
 レックスは農場にいるすべての動物の長で、小屋でなく母屋でホゲット夫妻と一緒に食事をすることが許されている。雄らしい立派な体格で、全体に黒がちで恐ろしげに見えるうえに、暗い過去を背負ってもおり、陰惨な凄みを漂わせて登場する。人間でいえば古いヤクザ映画の修羅場をくぐった渡世人といった雰囲気である。
 一方、妻のフライは白黒の案配もいい美しい雌で、羊にはたいそう威圧的だが、仔犬や、哀れな子豚に対しては、惜しみなく母性愛を発揮する。暗い過去に傷つき、そのため農場内で圧政を敷く夫レックスの唯一の理解者でもあり、その細やかな心遣いと、力強いサポートには頭が下がる。演技的にはアヒルのフェルディナンドも捨てがたいが、ここはやはり働き者のボーダーコリーに軍配を揚げよう。(2001.6.18)

ベイブ BABE(1995年/ユニヴァーサル/クリス・ヌーナン監督)




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