うんち問題2[パリのうんち事情]


 新聞の国際面で珍しく犬が取り上げられていた。「パリ、う〜んとフン闘 犬の落とし物が1日16トン フン慨の市、追放宣言 」というタイトルで、現地の記者がパリのうんち事情について述べたもの。冒頭はこうだ。
 

 パリに来たら、どんなに忙しくても必ず見るもの、な〜んだ? 「踏んづける人もいる」――なんてヒントもいらないほど、犬のうんこは名物だ。夜空に輝く銀河のように、石畳の街のあちらこちらにも散らばっている。パリジャンがどれほど犬好きかを物語るとともに、いかに飼い主として無責任かも象徴してきたこの物質。長年手を焼いてきたパリ市は新たな作戦を練る。パリがうんこから解放される日は来るだろうか。


 ああ、どうしよう。いきなりさむい。気を取り直して続き。


・清掃後すぐフン張る犬
 観光名所のポンピドーセンターに近いパリ中心部レアール地区。早朝から、市清掃局の作業員らがあらゆる手段を使って大忙しだった。(中略)「でも、1時間と持たないんですよね」。案内してくれた清掃局のジャンポール・ビドー技師がぼやく。「すぐ犬が散歩に来るんですよ」
 これだけやってもピカピカの歩道で、犬は容赦なく後ろ脚を踏ん張る。周囲がきれいになっているだけに黄色いうんこは余計目立つ。


 のっけから揚げ足取りはよくないと思うが、小タイトルのダジャレどうにかならないものか。このダジャレ、実はこれだけではない。上の「フン闘」「フン張る」に加え、「フンだん」「フン別」「フン出」と延々と続くのだよどこまでも。ダジャレに寛容なわたしでさえ頭痛がしてくる。さらに「うんこ」である。これを用いている記事は初めて見た。ふつう「糞(ふん)」だ。もしかしてダジャレのためにそうしたんじゃなかろうな。


 総延長2400キロのパリの歩道に、犬が落とすうんこは1日約16トン。処理費用は年間7000万フラン(約12億円)にのぼる。(中略)パリは08年五輪の有力候補。ルモンド紙によると、ライバル都市北京のインターネット版新聞が「こんなにうんこでいっぱいでは、開催は到底無理」と報じたとして、パリ五輪組織委員長が3月、北京側に抗議する騒ぎがあったという。


 ここらへん少しはまとも。「うんこ」のせいでオリンピックを誘致できないとなれば大変なことだ。しかし、だからこそ行政が重い腰を上げたともいえるだろう。年間2300人もの人が罰金を払っているとはおそれいる。3月に当選した新市長は「うんこ追放」を重要課題に掲げ、愛犬団体や獣医師、訓練士らと協議のうえ、来年早々にも、新プロジェクトを発表するという。

 とまあ、この記事、全体にこの調子。ものがものだけに、どう向き合おうが滑稽であることにはかわりがないと思うが、こういう書き方はいかがなものか。都市の放置うんち撲滅のモデルケースになるかも知れないパリの努力が記者のおふざけのために嘘っぽくなってしまっている。センスなさすぎ。(2001.7.7)

※この記事の全文は以下で読むことができます。
http://www.asahi.com/international/feature/010628a.html



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