助演犬特別賞

[おきゃくさま1000人突破記念]

 それは『WHAT LIES BENEATH』のクーパーである。
 R・ゼメキス監督、ハリソン・フォード主演のサスペンスホラーに出演するという栄誉を勝ち得ながら、実になにもしない。
 見せ場といえば、女主人クレアを追って行った橋の上で、不穏な空気を察知して唸る場面と、バスルームで心霊盤の儀式をしているところへふいに入ってきて、死ぬほど驚かすところだが、どちらも演技的にはどうということはない。画面の隅っこをのそのそ横切ることで存在をアピールしたりもするが、と思えば話の途中でいなくなりしばらく帰って来ない。
 クーパーは大型犬である。バーニーズマウンテンドッグとマスティフを混ぜたような感じだが犬種は特定できない。顔つき体つきから老犬とは思えないが、ふいに客が来ようが、家の中で死闘が繰り広げられようが、ちらとも出て来ない。これは家庭犬としてかなり不自然なことではないのか。
 そもそも映画じたいが超絶つまらないのである。「サスペンス系の映画が撮りたかった」のは勝手だが、いくらなんでもこりゃないぜ。「ヒッチコックへのオマージュ」って、まさかシャワーカーテンのとこだけじゃないだろうな。「最高峰のVFX」も、どこがすごいのかわかんねえよ。こんなんだったらいっそ丸腰でやれ。脚本もひどい。いたってシンプルな話に要らぬ伏線多すぎ。なんか文句はないのかハリソン・フォード。
 湖畔の美邸で暮らすインテリ夫婦の生活・経済状態を補強するだけのためにキャスティングされたかわいそうなクーパーに特別賞を。なんとも長すぎる130分。ぶうぶう。(2001.7.12)

ホワット・ライズ・ビニース WHAT LIES BENEATH(2000年/20世紀フォックス/R・ゼメキス監督)




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