なんでも犬に見える
なんでも犬に見えて困っている。
商店街で、向かって歩いて来る人が大きなゴールデン・レトリーバーを連れていると思ったら、クラフト紙に包まれた布団だった。
わたしはドのつく近眼だが、外出するときはコンタクト・レンズを装着している。ようするに思い込みなのだ。人の腰から下にあるものすべてを犬だと思い込んでしまう。紙袋から小さな子どもまで、視界に入るとまずは犬に見える。
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いま住んでいるマンションのエレベータにはカメラがついており、各階のホールでモニターできるようになっている。説明書には防犯とペット同士の鉢合わせや事故を防ぐためとあるが、愛犬家としての楽しみ方はあって、顔見知りの犬が乗っていれば待っていて、ご挨拶したりされたり。ある飼い主さんなど、犬が乗っているとついモニター画面に向かって手を振ってしまうそうである。
きのう外から帰ってきたとき、モニター画面に人と白い大きなものが映っていた。グレート・ピレニーズか、あるいはオールド・イングリッシュ・シープドッグか。マンション内では見かけないが、来訪者が犬を連れてくる場合もある。
わたしはわくわくして到着を待った。
ドアが開き、出てきたその白い大きなものは、東京都推奨のゴミ袋(特大)であった。(2001.8.18)
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