質疑応答〜もう親ですか?


◎すごく頭いいんですよね?
 ボーダーコリーを「頭のいい犬」と決めつけている人が多いことには、いつも驚く。同じ犬の飼い主はもとより、犬を飼っていない人でもそういう人がいる。たしかに犬関係の本にそう書いてあることが多いし、さいきんではテレビでもメジャーになってきた。だが、出会った人に「この犬、頭いいんですよね?」と訊かれて、「そうなんです。すごく頭がいいんですよ!」と答えるボーダーの飼い主が、果たしているだろうか。
 この質問は「日本人って頭いいんですよね?」というのと同じである。「インド人って数学が得意なんですよね?」でもいい。おそらく大部分の人が「人によります」と答えるだろう。犬だって同じである。
 だからわたしは「そういうことになってますね」と答えることにしている。


◎女の子ですか、男の子ですか?
 短毛の犬だとわかりやすいが、テスは思いがけなく毛が伸びたこともあり、よく訊かれる。「メスです」とわたしは答える。ちなみに逆に尋ねるときも「メスですか、オスですか」という。
 先に名前を訊かれてから性別を訊かれることが多い。「メスです」というと、とたんにちゃん付けになるから愉快だ。オスだとくん付けになるのだろうが、試したことはない。
 ところで、犬の名前から性別を察するのはけっこう難しい。和風の名前にはそれほどぶれがないからわかりやすいが、外国風だとそうはいかない。わたしはメスだからテスという名をつけたが、オスでテスという名の犬もいる。また、おリボンをつけているからといってメスだとは限らない。


◎何歳ですか?
 5歳です。正確には5歳と4カ月です。素早く人間の年齢に換算してくださる人がいるが、わたしはあまり意味がないと思っている。逆に尋ねることはあまりない。こいぬの場合は気楽だが、見るからに高齢犬だとわざわざ訊くのも気の毒だ。わたしだってテスの年齢を答えて、もう5歳なのかと少し悲しくなるときがある。


◎毛が抜けますか?
 不思議な質問のひとつである。毛が抜けない犬がいるのだろうか。チャイニーズ・クレステッド・ドッグのようなつるつる犬だって、少しは抜けるんじゃないかと思うくらいである。
「抜けますよ」とわたしは答える。どれくらい抜けるかというと、掃除機のゴミパックの中身のほとんどが犬の毛といってもいいくらい抜ける。犬の毛でセーターを編む人の気持ちはよくわかる。
 毛は全身から抜ける。顔からも抜ける。鼻面をちょっと掻いてやっただけで、短い毛がぱらぱらと抜けて散らばる。


◎室内で飼われてますか?
 はい、そうです。いまだったら戸建てに住んでいても室内で飼うだろう。玄関先などで繋がれて飼われている犬は、むかしにくらべると激減したが、いまでもいる。さいきんは犬の盗難というのもあるようだから、外で飼う場合は注意したほうがいい。
 面白いのは、この質問をマンションの廊下でされたことである。質問したのは同じマンションの住人。反射的に「はい、そうです」と答えてしまったが、室内でなければ、ベランダででも飼っていると思ったのだろうか。押し入れとか? まさかね。


◎もう親ですか?
 不思議な質問というより、不思議な言葉遣いである。子に対して親、つまり成犬かどうかを尋ねている。むかしはこう言う人がけっこういたような気がするから、犬は生殖可能だということが成犬の目安になっていたのだろう。避妊手術が一般的になったいま、この言葉遣いは適当ではない。
 年寄りはしょうがないと思うが、若い人でも「もうオヤ?」などと言ったりする人がいる。猫の場合はどうなんだろう。小鳥やハムスターはどうなんだろう。また、これは日本全国でそうなのか。知ってる人、教えてください。(2002.7.14)


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