なんでだろう?



 テツandトモの「なんでだろう〜なんでだろう〜」という歌が耳について離れない。というわけで、先日めでたく6歳になったテスの「なんでだろう?」を3つばかり。

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【1】Mちゃんのお供をするのなんでだろう?
 Mちゃんはメスの柴系ミックス。何歳かは知らない。小さく、白っぽい毛色で、見かけはたいへん可愛らしいが、気に入らないことがあるとすぐに吠えつく怒りんぼうである。テスはこのMちゃんに出会うと、必ずMちゃんの家の前までお供をする。
 Mちゃんは怒りんぼうのうえに気まぐれでもあり、毎回、歩く時間もコースも定まらないが、テスは忠実にあとをついて行く。Mちゃんが嗅いだところを嗅ぎ、おしっこをすれば同じところにおしっこをする。Mちゃんがほかの犬に挨拶をすると、じぶんも挨拶をする。
 ところがである。この忠犬テス公、Mちゃんの家の前まで来ると、名残を惜しむMちゃんを無視し、まるで何事もなかったかのように立ち去ろうとするのである。飼い主さんに「テスちゃん、いつも送ってくれてありがとう」とねぎらわれても知らんふり。いったい何が楽しくてMちゃんのお供をするのだろうか。
 この行為はMちゃんに対してだけ行われる。ほかの、どんなに仲の良い犬に出会ってもお供をすることはない。


【2】わたしの耳を噛むのなんでだろう?
 留守をして帰宅すると飛びついてきて耳を噛む。
 決まって右耳、左耳の順。再び右左と繰り返されることもある。時間にして片耳1〜2秒程度のことで、ロシア人の挨拶を思い浮かべていただくといいだろう。
 いつごろから始まったのか定かではないが、歯が永久歯に生え替わってからであることは確かだ。
 噛まれている最中はさほど痛くはないが、ときどき出血してカサブタができていることがある。カサブタは耳の穴周辺の軟骨部分に集中しているように思う。
 犬が嬉しいときに人の顔や口をべろべろ舐めるのはわかるが、耳を噛むというのはいったいどういうことなのだろう。なお、この行為はわたしに対してだけ行われる。家族や訪問者の耳は噛まない。


【3】食べる前におずおずするのなんでだろう?
 ごはんのとき、おやつのとき、食べる直前になるとなぜかおずおずした態度になる。
 ボウルにフードを入れたり、おやつの缶を開けたりする準備段階までは、喜びいさんで飛んだり跳ねたりしているくせに、現物を目にするとぴたりと止まる。
「食べないの?」と意地悪を言ったり、「おいで」と呼ぶと、耳を伏せ、上目遣いになりながら、抜き足差し足、ゆっくりと歩いてやって来る。「ほんとに、よろしいんでしょうか」ともでいいたげだ。
 これはわたしにだけではなく、家族に対しても同じことをする。遠慮しているのか警戒しているのか、それともがっつくのは恥と考えているのか、謎は深まるばかりだ。彼女にとっては欠くべからざる儀式なのかもしれない。

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 もしこんなことをする犬がいたら、ぜひ教えてください。(2003.3.16)


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